本当に読んだもの、聞いたもの、試したもので、よいと思ったものしか紹介しません。
マニアックじゃないけど少し偏った品揃えです。
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食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫)
おすすめ;★★★ |
曹洞宗の総本山、福井県の永平寺での修行体験記。
作者は、僧籍でもない、ごく普通の会社員であるが、
お気軽な修行体験でなく、一雲水として入山する。
禅修行といえば、厳しいながらも、浮世離れした厭世観のある静かな日常を想像していたが、大げさでなく命がけ。それも、密教系のように自然あいての荒行や断食などの苦行ではなく、圧倒的なバイオレンスと極度のストレスによるもの。
なんだか一般の会社で受ける精神的ストレスを極度に高め、さらに空腹、寒さ、長時間の座禅等の肉体的にも負荷を加え、24時間、ストレスにさらし続ける生活・・・過酷そうでしょ?
そんな修行生活の中で、自尊心、曖昧で中途半端な思考、思い込み、こだわり・・・
それまで大切にしてきた、今までそれこそ「自分」だと思っていたものが、ことごとく木っ端微塵、徹底的に破壊される。
ある種のセミナーの手法にも似ているが、結論(主催側が用意した)を与えない事、そして、その期間が長く、本人が決めない限り期限がないこと、が大きく決定的に異なる。
そんな修行生活の中で、作者がもがき、苦しみ、悩みながら、その生活の中に充実した時間と自分自身を取り戻していく過程が、すがすがしく、いきいきと描かれている。
作者は、何一つ結論めいたことは言わないし、押し付けがましいことも一切語らない。
ただただ、修行生活と自分自身の心の動きを描写している。
「悟り」などという言葉は、1回も出てこなかったと思う。
禅については全くの門外漢だが、開祖道元は、日々の暮らしの中にこそ、修行と鍛錬が在ると説き実践した、と聞き及ぶ。
只管打坐・・・、永平寺に入門せずとも、若しくはしても、日常の日々にこそ、道があり刹那刹那を真剣に生きなければ、と思うのだが、できないんだな、これが・・・・・。
(クリス)
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